“グループ稲だ、より”
1996年8月25日発行
お元気ですか。
稲は本年も元気です。

 山形県内は例年にない残雪の多い春先となりました。といっても我々の住む余目町は平野部で、春の農作業に支障をきたすことはありませんでしたが、前半はやはり低温気味に経過し、稲のほうも生育が遅れがちでありました。畦での立ち話では「あとは夏の天気しだいだナ。」という声がちらほら。
 梅雨寒のしのぎやすい日々が続いていたなか、雲の切れ間から久々にのぞくお日様の熱い眼差し。「いやー。今日はやけに暑い日だのォ」と思ったら待望の梅雨明け(7/19) でした。それからというものグワァングワァンとした炎暑の日が続きました。
 ビールで水分供給過多の身体は萎え気味でしたが、稲のほうは熱い日差しがなによりのごちそうです。梅雨でたわんだ葉っぱが引き締まっていき、ちらほらと見えたイモチ病も逃げだします。V字に屹立し歓喜しながら光を集めているようです。生殖成長(穂作り)のほうも活発になり茎の丸みが大きくなり、淡い緑色の穂が顔を出し産声をあげました。かならず穂が出ると分かっていても、実際に目にするまでなんか不安なんですね。で、穂っと一安心。
 8月15日に台風が上陸しましたが、風もさほど強まらず、むしろ、恵の雨をもたらして立ち去りました。この暑さは「何ざんしょ(残暑)」と思いつつ田んぼに足を運ぶと、穂が不規則にばらばらと傾きはじめています。一面の田んぼの色彩が日一日と変化しつつ実りの秋をむかえます。
 どうやら本年も予約承れそうです。(急に商売気をだして)なにとぞ、よろしくお願いいたします。

○産直はなぜ高い?
 農薬や化学肥料を使用しないで(減らして)栽培した場合、あらゆる天候を想定して慣行農法の7〜8割位の収量設定で計画を立てたほうが無難であり、実際我々の技術ではそれ位またはそれ以下の取れ高である ・のが現実です。ただたんに減収分2〜3割価格を上乗せしているというだけであります。それに送料が加算されるもんですから割高感は否めないと思います。生産者から直接購入するのだから安く手に入る、というイメージが産直にはありますが・・。
○今後の個人産直の見通しは?
 米が自由販売できる以前ですと、有機米や顔の見える米というのは、産直(生協も含めて)を中心とした限られたルートとでないとなかなか手に入れることができなかったわけです。現在は「生き残り」と称して米屋さんはもとより有名デパート、コンビニ、酒屋、クリーニング店などでも、有機低農薬米は販売されています。消費者にとって広い選択肢のなかから選ぶことができるということはいいことに違いありません。 また気楽に買えるというのも魅力でしょう。
 それに較べると、やはり個人の産直は「重い、わずらわしい」部分をひきずっていきます。
 それは商品(米の質とはべつに)としては常に未熟であるからです。作り手の思いや情報が直接伝わってくる商品がどこにありましょう。過剰な思い入れより、さわやかな対応を求めるほうが主流だと思います。 ・あとは受け手(消費者)の問題になるわけなのですが、本流からはずれた個人の産直はあまりのびない、といわれています・・。
○なぜ、いまごろ産直なのですか?(思考する産直)
 産直は早い人でまだ3年目、あとは始めたばかりです。平成5年の大凶作を乗り越えた強い絆などあるわけがありません。  産直は出会いだと思うのです。また、産直は思考し続けなければならないのです(下手な考え休むに似たり?うーん、みんなもっと休もうよ)。お米のクオリティは高く保ちつつ、さっそうと農の可能性を駆け抜 けていくのです。と、これはかっこつけすぎですね。
 基本理念は、いじけずいばらず農業を続けること、です。はい。

「グループ稲」のメンバー紹介
順番は年齢が若い順になっています。
共通項は余目生まれの余目育ちということ、あとは、どこにでもいるような、おしゃべりな農民、でありましょうか。

成田 浩輝(ひろき)
1962年9月2日生まれ
 小学生の頃より棒を振り回すやんちゃ坊主は剣道を始めた。現在は5段の腕前。高校時代はインターハイにも出場。腕っぷしは強く決断は早い(少々気が短い?)。余目創造ネットワークという町おこし集団でも 活躍し、最近特にお酒が入ると陽気になる(ようである)。米のほかに温室メロンや花卉ではストック栽培も手掛ける。
*お米の名前 「成田さんちのお米」

今野 裕之(ひろゆき)
1961年10月31日生まれ
 おーっと、力持ち。高校時代は重量挙げの選手でインターハイへ。昨年より減農薬栽培を試みる。本年はアイガモ農法による無農薬無化学肥料栽培にもチャレンジ。要所要所の作業時の集中力はみごと。よって田 ・んぼのできは上々である。畑作物は鴨ねぎというわけか昨年よりねぎ栽培をおこなう(昨年は収穫直前の台風で台無し)。現在、余目ビデオ同好会の会長。
*お米の名前 「庄内恵比寿米」

阿部 利勝(としかつ)
1957年4月22日生まれ
 三人のなかでは、いちばん顔が長い(額がひろい?)のと有機栽培の経験(失敗)がほんの少し豊富。本人も認めるように単細胞のせいか米しか物になっていない。「根は暗いが性格は明るい」と自称するとおり ガハガハとよく笑う。趣味と仕事の区別がつきにくくてとも笑う。
*お米の名前 「としかつ父ちゃんの『しょうもない米』
住所 999−77
   山形県東田川郡余目町大字西野字西野94
     TEL&FAX0234−43−4365

としかつ父ちゃんのしょうもない通信
1994.9.26号 1995.7.14号 1995.9.17号 1996.1.20号 1996.9.14号 1997.7.20号 1997.9.26号 1998.6.17号
グループ稲便り
1996.8.25号 1997.11.19号

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