1997年9月26日号

阿部利勝・洋子

 

稲刈りが始まりました。

 

 私が農業に携わった頃(20年ほど前)すでにコンバインが主流となっておりました。我が家でもコンバインは買ったばかりで、稲刈り=コンバイン、という図式が頭にあります。そんなわけで、刈り取った稲束を上手に結わえません。体験稲刈りなんかで都会に住む皆さんと稲刈りする機会があるのですが、むしろ、学生時代は田舎で稲刈り手伝っていたんだ、という方々のほうが私より上手だったりします。
 コンバインの前は、稲を刈ると同時に紐で結わいてくれるバインダーという機械が活躍しており、杭掛けに赤とんぼが舞っておりました。高校生のときはバインダー刈りを手伝わされるのが嫌でバイクで逃げ回っていました。そういときに限ってぜんぜん勉強などしてないのに「田んぼさ出っど、勉強さんね」などとのたまわったものです。
コンバインも以前は袋に詰めて蟻さんのようにせっせせっせと運んでいたのですが、一昨年にグレンタンクという袋詰めにしないで家まで運べるタイプのコンバインに買い換えました。ぬかるみにも強く、あーらくちんだと思いつつ(支払いのことを別にして)、小学生の娘を田んぼに連れていったところ「オトーチャン、このコンバイン嫌いだ」といい放つのでした。
 袋のときはトラックの荷台に積み上げられていく籾袋の上で遊ぶことができました。また彼女たちの大好きなお母さんといっしょにコンバインの袋受けのところに乗って田んぼを回ることができたのです。今のは一人で全部できてしまうので、子供達の関われる部分はごくわずかとなってしまいました。
 こどもの頃、籾の匂いのした袋の上で遊ぶのは楽しいものでした。そのまんまトラクターに揺られながら帰る野道の風景はいまでもはっきりと覚えています。
しょうがないので、子供達をコンバインの運転席に乗せてあげました。少しは満足したようすでしたが。

 

 

○平成9年産「しょうもない米」の栽培体系

 無農薬無化学肥料栽培は有機100%の発酵ぼかし肥料(商品名放線有機.エリート有機)を10・当たり50〜60・散布し、5 /14 に田植え、5/28に真鴨を田んぼに放ちました。餌のほうはくず米だけであります。昨年は鴨を入れるタイミングを逸し、ヒエを繁茂させてしまって「ヒエー」と悲鳴をあげてた反省をいかし、本年は早く入れたのはいいものの、稲までついばみはじめて、日一日と稲が無くなっていき7月10日過ぎには田んぼより引き上げざるおえませんでした。田んぼがてかてかと湖化していくさまには怖いものを感じました。

 


鴨から蹴散らされ(食べられ)部分的に稲が
無くなってしまった田んぼ(トホホ)


写真をクリックするとあら不思議・・。

 

 もちろん農薬及び化学合成資材は使用しておりません。
減農薬米のほうは、ササニシキ・はえぬき・どまんなかの3品種。本年より「どまんなか」も無農薬米同様化学肥料の使用を止めました。農薬散布のほうは除草剤のみ一回使用で、他の防除等農薬散布はいたしておりません。
いずれも種子消毒および苗作りの段階でも農薬は使用してません。
 エルニーニョ現象の影響も微小にすみ、暑い夏のおかげできれいな実りの秋となりました。そんななか、全国的な豊作により農家手取り大幅下落、といった報道がなされています。あー、なんだか知らぬまに私の米は高価格米となってしまいました。 いろいろと考えあぐねた結果とりあえず本年は昨年同様の価格とさせていただくことにいたします。「え〜」という声が聞こえそうですので3点ほど理由を述べてみます。
・逆に不作で値段が高騰したとしても価格を急に高く設定することは考えられません。
・ふんだんにある国産米のなかから消費者の皆さんは選択する自由があります。私の米の値段及び品質その他「それは変だ」と思えば別の人(お店)からすぐ入手でき、不利益は被らないはずです。生産者側のほうがリスクは高いような気がしますが。 米不足で、うん万円出すから譲ってくれ、といわれるより豊作で無視されるほうが気が楽でいいですね。もともと振られ上手でしたから。

いじけずいばらず農業を続ける道を模索しております。

本年も宜しくお願い申し上げます。

 

 《お米の値段などについては直接下記までお問い合わせください。》

住所 山形県東田川郡余目町西野94
氏名 阿部 利勝( トシカツ)
TEL&FAX 0234-43-4365
FAX&留守電専用 0234-43-4859
24 時間0Kですが、物置みたいな場所にあり一日一回しかチェックしてませんので急ぎの用の場合 43-4365 のほうに連絡ください。)

Eメール VETO6541@niftyserve.or.jp

としかつ父ちゃんのしょうもない通信
1994.9.26号 1995.7.14号 1995.9.17号 1996.1.20号 1996.9.14号 1997.7.20号 1997.9.26号 1998.6.17号
グループ稲便り
1996.8.25号 1997.11.19号

としかつ父ちゃんのホームページへ戻る  創造ネットワーク研究所のホームページへ戻る